数学が苦手な人へ
数強塾グループ代表である藤原進之介と「大学への数学」にコラムを掲載している塩崎ひかる先生からのメッセージです。
ぜひ、ご覧ください。
【藤原進之介からメッセージ】
1. 数学専門塾「数強塾」が目指すもの
数強塾は、ただ大学合格を目指すだけの塾ではありません。
数学を「根本から理解する力」を育むことで、自分の頭で考え抜き、応用できる人材を育てたいと考えています。つまり、大学受験だけでなく、その先の人生まで見据えた“本質的な数学力”を身につけてほしいのです。
なぜ“根本理解”にこだわるのか
多くの生徒さんが「高校で数学が伸び悩むのはなぜ?」と悩みますが、その原因を掘り下げると驚くほどシンプルな事実に行きつきます。それは、「中学校レベルの概念や定義が曖昧で、積み残しがある」ということ。
定期テストで高得点を取れていた生徒さんでも、いざ模試や大学受験向けの問題を解こうとすると、「定義や理屈があやふやで応用できない」「公式をただ暗記しているだけだった」などの問題に直面しがちです。
実際、「この公式はこうやって導くんだよ」「ここの定義が理解できていないから計算式がスムーズに頭に入らないんだね」といった声をかけると、急に“目の前が開けた”という子がたくさんいます。
数強塾では、一人ひとりの「中学範囲でつまずいているポイント」を丁寧に洗い出し、根本的な理解が抜け落ちていないかを確認するところからスタートします。

2. 「学習塾はオワコン」って本当?
「学習塾はもう時代に合わない」「子どもの数も減っているし、どの塾も潰れていくのでは?」という声を耳にすることが増えてきました。しかし実際の統計を見ると、子供1人あたりの学習費は上がり続けています。
• 公立高校の生徒にかける学習費
過去10年で 116万円 → 179万円 へ増加
一方で、2024年上半期には「倒産した塾が過去最多の26件」というニュースもあります。ここには大きく2つの理由が考えられます。
理由①:推薦入試の増加
• 2023年度入試では、推薦入試が全体の50.7%を占め、初めて5割を超えました。
• とくに私立大学においては、入学者ベースで58.3%が推薦入試で合格しています。
つまり「定期テストの点数・課外活動・英検などの資格が合否に影響する」推薦入試で合格する子が増え、一般選抜(いわゆる一般入試)に挑戦する層が減っているのです。
この流れにより、「一般入試対策」をメインにしてきた大学受験塾の市場は小さくなってきています。
理由②:ニーズの変化
• 昔は「塾で授業を受けること=大きな付加価値」でした。プロ講師の授業を聞けば、“自分では手に入らない貴重な情報”が得られたからです。
• しかし今や、受験に関する情報やノウハウはYouTubeやブログ、SNSなどで無料公開されており、「情報」自体の価値が下がっています。
現在の塾に求められているのは、次の2つに大きく集約されます。
1. 個別最適化:一人ひとりの学力や目標に合わせた的確な指導
2. モチベーションのサポート:学習習慣の定着や自主性の育成
単に「わからない問題を解説してくれる授業」だけでは、生徒も保護者も満足しなくなってきているのが現状なのです。
3. それでも「数強塾」は伸び続ける理由
数強塾は、「難関大学を一般入試で目指す層」がしっかりと存在し続ける点に着目しています。国公立大学や早慶などの難関私大を狙う学生たちは、推薦入試ではなく“試験一発勝負”の一般入試を避けては通れません。
この層に向けた指導は、ただの「情報提供」ではありません。数学という教科の基礎と応用をしっかりと押さえ、論理的に思考する力をトレーニングする必要があります。そこに数強塾の強みである「根本理解」を徹底する指導がぴったり合致するのです。
例:中高一貫校の生徒さんのケース
• 一見すると学力レベルが高く見えても、中学の基礎が曖昧なまま高校内容に進んでしまい、本人は「暗記」で乗り切れると思っていた…
• ところが難関大学向けの問題を解こうとすると、公式の本当の意味がわからず失速してしまう…
こういった悩みを抱える生徒さんが多いのは事実です。でも、それを逆手にとれば「中学範囲から学び直し、定義や理論をしっかり固めれば、実は大きく伸びるチャンスがある」ということでもあります。
4. 現代に求められる塾の役割
「塾はオワコン」と囁かれる背景には、前述の通り「情報の価値が下がった」ことが挙げられます。しかし、塾が担える役割は情報提供だけではありません。
1. 個別最適化指導
• AIで問題を解説してくれたり、YouTubeを見ればカリスマ講師の授業を無料で視聴できる時代。
• だからこそ、人間の講師が「この生徒に今必要な内容は何か」「中学時代からの積み残しはどこか」を的確に見極め、的を絞った指導を行う価値が高まっています。
2. モチベーション・メンタルサポート
• どんなに情報を集めても、“実際に手を動かして問題を解き、復習を続ける”という勉強の本質部分は本人自身がやるしかありません。
• やる気や集中力を維持できるよう、一人ひとりに合った声かけや目標設定をサポートするのが私たち塾の重要な役割です。
数強塾は、この2点を軸に「やる気」と「正しい方向性」をしっかりと示す環境を整えています。「講師の説明を聞くだけ」の受け身の学習ではなく、生徒が自分で考え、問題解決に挑戦する場を提供することで、真の学力を引き出せるのです。
5. 「やっぱり塾は必要だ」と実感する理由
中学校の学び直しが必要になる場面
• 高校に入ってから明らかに数学が苦手になった。
• 中学の定義や証明を覚えていない、あるいは当時も本質的にはわかっていなかった。
• 大学受験を意識して初めて本格的な理解をしようとしたが、何から手をつければいいかわからない。
こうしたケースでは、学校の授業進度に合わせるだけでは間に合わないことが多いです。そこを個別にカバーするのが塾の出番となります。
受験勉強を一人で管理しきれない
• 情報が多すぎて何を選べばいいかわからない。
• モチベーションが下がったときに軌道修正できる人がいない。
• 学校の勉強と受験勉強の両立に疲れてしまう。
こういったときに、「自分に必要な教材」「最適な学習計画」「心が折れそうな時の励ましやアドバイス」がもらえる環境は大きな支えになります。
6. まとめ:数強塾で“本物の数学力”を身につける
1. ただ大学合格を目指すだけでなく、数学を根本から理解することを大切にしている
• 中学の基礎から学び直し、定義や理屈をしっかり押さえて応用力を育てる。
2. 現代の受験事情や塾業界の変化にも対応し、難関大合格を実現
• 推薦入試が増えている一方で、国公立や難関私大を一般入試で目指す生徒には揺るぎないニーズがある。
• 数強塾はそのニーズに応えるためのノウハウと実績を持っている。
3. 情報だけでなく、「個別最適化」と「メンタルサポート」を重視
• AIや動画では解決しきれない、“目の前の生徒のつまずき”や“やる気を引き出す仕掛け”を提供。
「塾はオワコン」などと言われる時代だからこそ、本質的な価値を提供する塾が求められています。子供1人あたりの教育費はむしろ増加傾向にあり、保護者の皆さまも「確かな指導」を望んでいるはずです。
数強塾は、“数学が苦手で悩んでいる全国の中学生や高校生”を応援し、その子たちが本質的な学びを得られるよう、これからも歩んでまいります。
「数学の成績に伸び悩んでいる」「本当の力を身につけたい」
そんな生徒さんは、ぜひ数強塾の扉を叩いてみてください。私たちは、一人ひとりの「わからない」を丁寧に掘り起こし、「できる!」につなげるお手伝いを全力でさせていただきます。
数学専門塾 数強塾
• 中学から高校、そして大学受験へ。数学の“根本理解”を徹底することで、可能性を広げる。
• 難関大志望の生徒から、数学に苦手意識をもつ生徒まで、幅広くサポート。
• AI時代でも求められる「考える力」を養い、数字を“扱う武器”へと変えていく。
お読みいただきありがとうございました。私たちと一緒に、数学の本質に迫り、合格だけでなくその先の未来を切り拓く力を身につけましょう。
【塩崎ひかる先生プロフィール】
塩崎 ひかる
2000年生まれ,牡羊座.
愛知県の私立滝中学校・滝高等学校を卒業.在学中は数理研究部の部長を務め,数学甲子園全国大会に3度出場.優勝1回,入賞1回の実績を持つ.東京大学理学部数学科を卒業後,現在は東京工業大学大学院理学院数学系で解析的整数論を研究する傍ら,私立開成学園にて講師として教鞭を執る.
この若さでありながら,数学教育の分野でも精力的に活動.安田亨氏の入試問題解答集の執筆に参加し,東大・京大をはじめとする難関大の入試解答を軒並み担当している.昨年,安田氏と共著で出版した『難問ラプソディ』は、初版1000部をわずか3ヶ月で完売.今や超上位層向けの参考書のバイブルとなりつつある.今年度からは受験雑誌『大学への数学』に隔月で記事を寄稿し,医系予備校のテキスト作成も担当.活動の幅をさらに広げている.

また,音楽活動にも力を入れており,バンドのGt.Vo.としてアルバムを3枚リリース.作詞・作曲も手掛けるなど,多才な一面を持つ.さらに,2022年度の東京大学駒場祭テーマソングも担当し,学内外で注目を集めた.
洗練されたエレガントな解法を追求し,問題の本質を見抜く力を重視.受験テクニックに頼らず,数学の核心に迫る解答を提案し,解答の書き方や思考プロセスまで丁寧に指導することを信条としている.
YouTube Channel:https://www.youtube.com/@hocsom_toru_yasuda
Twitter:https://twitter.com/shitake_math
【塩崎ひかる先生からメッセージ】
「天才」ではないあなた方への勉強法
みなさん,こんにちは.塩崎ひかるです.今日は,数学を勉強していくにあたって誰しもが一度は経験する「あの悩み」について私なりの意見と勉強法を述べたいと思います.では「あの悩み」って何かって?それはズバリ…
「簡単な問題や,やったことのある問題は解けるけど,ちょっと捻られたりすると解けないよ…」
というものです.この悩みは誰しも一度経験したことがあるのではないでしょうか?巷には色々な人がいて,多種多様な意見が溢れています.例えば「網羅系の参考書(青チャートやFocus Goldなど)をやれば東大なんて楽勝だ!」という意見や,「この参考書さえやっておけば〇〇大は余裕!」など,目移りしたくなるようなアドバイスがたくさんあるでしょう.はっきり私が述べておきますと,これらは全部本当であり,全部嘘です.すべてそれらのアドバイスの前に「その人の場合は」という文言をつけて読んでください.「『その人の場合は』網羅系の参考書をやれば東大なんて楽勝だ」という意味です.決して,「『すべての人が』網羅系の参考書をやれば東大なんて楽勝だ」と主張しているわけではないということをよくよく念頭においてください.大体,誰しもに当てはまるベストな勉強法なんてものがあれば,誰だってその通りにやっています.学問に王道なしと言います,数学だって当然そうです.網羅系を1冊やればたちどころに力が付く人ももちろんいるでしょう,でもそうでない人だって当然います.理解度や学びの深さに個人差があるのは当たり前です.誰にだって当てはまる勉強法なんてあるわけがありません.数学に限らず,「耳障りのいい言葉」というのは危ないものが多いです.
「これでは何も解決にならないじゃないか,私たちを露頭に迷わせるだけかよ!」という批判の声が聞こえてきそうなので,私なりの勉強法をお伝えします.まずは,目標を決めてください.受験生ならば,志望校合格になるでしょうし,まだ受験が遠い人からしたら直近の模試の成績を伸ばすことかもしれないし,定期試験でいい点を取ることかもしれません.次に,その目標を達成するために必要な数学の力を把握してください.より具体的には,10段階くらいで評価してみるといいです.定義や公式を理解することをレベル1,教科書の例題が解けることをレベル3,章末問題が解けることをレベル5,東大レベルの問題が解けることをレベル8,などのようにレベル分けしたとき,自分にどの程度の力が求められているのかを測ります.さらに,自分の数学力がどの段階にあるのかを把握してください.ここで見栄を張っても意味がありません.できないものはできない,できるものはできるとしっかり区別をつけることも力のうちです.あとは,目標達成までの期間の長さと自分の性格を照らし合わせて,今の力と必要な力の差をコツコツ埋めていく,というのが大切です.抽象的ですよね,もっと具体的に「この参考書をやれ!」とか「こうやって問題を解け!」とか言われたいですよね.そんな決まりきったものはありません.
ただ,これだけはお伝えしたい.
「基本問題が解けなければ,応用問題は絶対に解けません.しかし,基本問題だけを100万回繰り返し解いたところで,応用問題が解けるようになるわけではありません.」
当たり前のことなのですが,意外とこれが盲点なのです.例えば,教科書の章末問題レベルが出題される試験に向けて勉強をしている,数学の苦手な人がいたとします.そういう人は大抵どのように試験勉強をするかというと,「定義や定理の確認は問題を解きながらやればいいや」という考えで,それらが不十分なまま章末問題ばかりを復習するのです.これは,自分がレベル1をしっかりとできていないのに,レベル5だけを重点にやればレベル5の力がつくと勘違いしてしまっているのです.逆のパターンもいます.東大合格を目指している人がいたとします.それには当然,東大レベルの力が必要になるわけですが,「網羅系を10周すればいいに違いない!」といって,レベル6くらいの問題を永遠と解き続けていればいつかレベル8くらいの問題を解けるようになると勘違いしてしまっているのです.冒頭の悩みの大半はこれによるものです.目標とするレベルよりも低いものを解いているから,見たことないものが難しく見える,それだけの話です.俗に言われる「天才」という人たちは,レベル2くらいを学べば,レベル8くらいの問題が解けてしまいます.しかし,みなさんの大多数は天才ではないし,天才はこの文章をそもそも読みません.なぜなら,「どのように勉強するか」なんてことを悩むのは彼らにとってはナンセンスだからです.私の同期に国際数学オリンピックを3年連続で金をとった人がいます.彼に「なんでこの問題をこう解こうと思ったのか」と聞いたことがあります.すると,「なんかこうやったらうまくいくような気がしたから笑」って言っていました.それ以上でもそれ以下でもないのです.彼らには勉強法なんて必要ないし,我が道を勝手に好きなようにのびのび進むからよいのです.天才ではないあなた方は,東大レベルの問題が解けるようになりたければ,東大レベルの演習をするしかないわけです.するとどこかで少し「背伸び」をするステップというのが必要になります.背伸びというのは,自分の力よりも少し上のレベルのものに食らいつく,ということです.これなしには数学力は伸びないと私は思います.ただ,背伸びをどれくらいの幅でするのかは,性格と残された時間によります.今のレベルが6のとき,次にレベル6.1のものに取り組むのか,レベル6.5のものに取り組むのか,はたまた大背伸びしてレベル8のものに取り組むのか.小刻みにレベルアップするほど,「全然解けない」という挫折感は減りますが,その分時間はかかります.大幅にレベルアップすると,当たり前ですが,解けない問題が増えてストレスはかかるかもしれませんが,時間としては短いです.私は後者の人間で,大きくステップアップして「何くそっ」と思いながら歯を食いしばるタイプでした.しかしこれが絶対的に正しいとは全く思いません.私の場合は数学が好きだったので数学の勉強に対するガソリンが満タンでした.みなさんが必ずしもそうであるとは思いません.
何回も繰り返しますが,どの参考書をやろうが結構.自分の力と,必要とされている力を正確に把握した上で,自分の性格と,残された時間を鑑みた上で,やるべきことを確実にこなすことが,数学の力を伸ばす王道であると私は考えています.良薬は口に苦し,と言います.大抵本質的なことは,あまり耳障りが良くないものです.個別の問題に対してどのように向き合うべきか,というより具体的な話はまた次の機会にいたしましょう.今回は,数学の勉強の全体像についてお話ししました.以上,塩崎でした.